朝靄の中、力強く流れる本流。この時間は1投目のキャストからいきなり魚がかかりそうな気がしてしまう
本州、禁漁前の本流。いつもこの時期になると、禁漁というタイムリミットのプレッシャーを受けながら、忙しい合間を縫って無理やり時間を作る。久しぶりのこの河川。2年ぶりに訪れた本流は全く姿を変えていた。落胆・・・・・・よりも僕はそれをいつも楽しむ。何故なら、以前のデータ(自分で探し当てた宝物(ポイント))がリセットされるからだ。それに何よりもポイントに入る気持ちが新鮮でいられる。
以前、釣れていたポイントは、流れが弱くなって砂が溜まり、消滅している――。
ここからが始まりで、楽しい時間と辛い時間がやってくる。どう宝物に辿り着くかを、2日間の行程で組み立てる。探し当てたからといって9月の30日が最終日で、またリセットされる。やりきれないから魚の勝ち、しかしそれで良い。
絞ったエリアの上流から下流までを見て回る。おおよそのエリアをある程度絞って見る。
フィールドを歩くと楽しい発見がたくさんある。水草が綺麗だったり、珍しい虫が飛んでいたり。そして、以前訪れたときとは違う流れを見れたり。もちろん、がっかりする時もある。それを楽しんだり、何がダメだったかを振り返ることが大切な気がする
1日目。朝7:00頃到着。本当は朝一に到着したいところだが、いつもこうなってしまう。もちろん、自己管理の問題。日が昇り気温も急上昇している。流れがかなり押している本流エリアに入って、その前後の様子をみる。先行者が入った形跡のないポイントを選び、藪漕ぎをして入川するが不発。上流のポイントまで見てみたが、その辺りでも魚の顔は見られなかった。
大きくエリアを変えて上から下まで約2~3km、川縁を歩いて下る。入り始めたところに魚はいたがそれのみ。また大きくエリアを変えて入川。もうずいぶん日も傾いて夕方になっていた。いろいろな要素を考えてこのエリアを選択。水押しが強く、ルアーが泳ぎきれるかどうかのポイントだったが、気になる転石を見つけた。その周りを流すと、小さなブラウントラウトが釣れた。
答えが何かはわからないが、この魚が顔を出してくれたことによって、また探し方を考え直そうと思った
2日目。5:00起床。いや5:15起床。朝一をやりたいと思いつつも、遅れてしまう。朝食を取らずにフィールドへ向かう。昨日、夕方に入ったエリアのやりきれなかったポイントを打ちにきた。ポイントには転石が3つ。勢いのある水押しながら、良い感じで流れがよれている。
そのポイントにルアーを流し込みながら反応を見るが、無。川を下っていくと、大きなよれがあり、いかにもというポイントを見つけた。アップにルアーを投げて、同調させながら流し込んでいく。ターンする間際で重いアタリ。フッキングするも最初の重みで根掛りかもと判断ミス。その隙を猛烈に走られてフックアウト。追い合わせをして、ロッドにトルクをかけ続ければよかったと後悔するも先に立たず。
違うルアーで転石と転石の間のよれにルアーを流し込む。流し込んだところで、その流れをつかめるところがあり、そこでしばらく同調させて泳がせた。「ガツン」と大きなアタリが出て、その瞬間に大きく魚が飛んだ。数分後にネットに収まった中型のブラウントラウトは、サイズのわりに良くファイトしてくれた。
とりあえず、狙って探して釣った1匹。サイズはともかく見つけ出せたことが嬉しいし、そこにこの魚が居てくれたことに感謝したい
写真を撮ってリリースした。その後もフィールドを移動しては入川を繰り返し、答えを探った。藪漕ぎと川歩きで身体はへとへと、朝食も取っていなかったので、ウェダーを脱いで早めの昼食にした。
昼を過ぎて、一番暑い時間に。水押しの強いポイントに狙いを定めて入る。水温は19度近くになっていた。
難しいかなと思い、シンキングをメインに使用したが無反応。1kmほど下ったところで、小気味よく動くフローティングタイプのミノーに変えると、同じポイントからニジマスが一転して高反応を見せた。もう一度おさらいをしようと、少し上流に戻って同じことを繰り返すと、何匹か元気の良いニジマスに出会えた。流し方、レンジを変えると反応が変わって面白かった。
本命としていたポイントには夕方に入った。水色、流れは申し分ない。しかし、無反応。先行者が直前まで入っていたのか、自分の流し方が悪かったのか分からない。諦めがつき、納竿してこの川をシーズンの終わりとした。
ルアーセレクトやアプローチはどうだったかと、来季を想像しながら飲む酒は心の消毒になった。またこの河川に立ちたいと思う。
釣りたいルアーと釣れるルアーが違う時が多々あるが、それでも釣りたいルアーで魚を釣りたい。どのルアーも可愛らしい