夏の想い出。
この年の夏は例年になく雨が多かった。高水温であったが、高水位の流れの押しを見ると心が躍る。
友人は遅すぎると僕に言った。
遡上の話。
僕の狙っているエリアはもう通り過ぎていると。
ただ、以前に最終の遡上と思われる個体で、通常の一回り、二回り大きい魚に出逢った経験があったので、友人には申し訳なかったが、アドバイスを聞かずにフィールドに立った。
雨は降り続いている。連日の雨で、山は十分に水を保っているため、かなりの高水位をキープして入川も気をつけないと危ないくらい。濁りは釣れそうなちょっとササ濁り程度。
ポイントのアクセントが増水でなくなっているので、普段は打たないポイントを打って行く。なかなか厳しくバイトすらもらえない時間が続く。
ひたすら歩く。
日頃、流れが緩やかな浅い瀬で見向きもしないポイントが、この日は流れが太く強くワクワクする良い瀬に変わっていた。
そのポイントに辿り着く。
その中でも瀬頭の大きな岩の裏の深みに目がいった。
いつもはその岩が背を高くして、川の中でそびえ立っているのだが、水をかぶりながら頭が少し出ている程度だった。
上流からルアーを流しながら漂わせて岩の裏の深みに滑り込ませていく。
魚が居るであろうレンジまで到達したと予測して軽くロッドを2,3度煽り、トゥイッチをかけずに一気にファストリトリーブして1mくらい巻いたところでゴツンと鋭く衝撃が手元に伝わった。
フッキングをすると一目散に下流に走る。
10mくらいまで距離を詰めると、また流心に乗って下流へ20mくらい下るを2回ほど繰り返した。
ただ、時間はかけずに、いつもより強めにテンションをかけながら寄せた。
手前まで魚が来て大きなサツキマスだとわかった。
姿が見えてからは、かなり慎重にやり取りをして、無事にランディングできた。
魚を水に浸からせて、数枚写真を撮らせてもらい、リリースした。
元気に返っていった。
もう繁殖活動を終えている頃かなと思いながら、写真に見入っていた。
Tackle
Reel : ABU Ambassadeur 4500CS RED
Spool :
Rod : Malibu Classic MCB-563L proto type
PE Line : LC Streamer #0.6
Leader Line : Varivas Trout Shock Leader #2.5
Lure : Supremo Mofe MS